第二代横綱「綾川五郎次」の記念碑から

今からどれくらい前だったか、太平山神社の境内に建てられた、第二代の横綱と言われる、栃木市出身の「綾川五郎次」の記念碑の写真を撮りました。
現在の太平山神社.jpg
石碑が建てられていた、太平山神社の社殿前。
2017年1月31日撮影綾川五郎次之碑.jpg
私が2017年1月31日に撮影した、第二代横綱綾川五郎次の記念碑。(写真手前の石碑)中ほどに写る建物は「神馬社」です。
2015年8月9日撮影綾川五郎次之碑.jpg 2015年8月9日撮影綾川五郎次之碑篆額.jpg
石碑自体の写真は、何度か撮影しましたが、逆光に成っている為か、石碑に刻まれている文字がはっきり写せません。石碑上部の篆額部分を拡大撮影しても、どうしても上手く表現できません。写真にマジックインキで上書きして見ました。
篆額の文字「天下無双」1.jpg
篆額の文字は、篆書体で書かれていて、右から左へ読みます。調べてみると「天下無双」と書かれている事が分かりました。
<世の中に比べるものが2つとないほど、非常にすぐれているもの。また、人。>(広辞苑より)
この篆額を揮毫した人物は、春日野清隆氏(第44代横綱「栃錦」)です。私がまだ子供の頃に活躍した関取さんで、「栃若時代」を任った横綱でした。

石碑の正面と碑陰とに刻まれた文字を、書き写して見ました。
綾川五郎次之碑(表).jpg 綾川五郎次之碑(裏).jpg
碑文冒頭には「綾川五郎次之碑」と刻され、<日下開山二代目横綱綾川五郎次は都賀郡薗部村の産生年詳ならず享保二年大関となり備前岡山候に仕へ横綱を免許されるにいたる身長六尺二寸体重四十四貫明和二年正月廿二日江戸に没すと栃木定願寺に其墓あり・・・(以下略)>と記されています。撰文は栃木市文化財保護委員會長だった、日向野徳久氏です。
碑文に記された日付は、昭和39年8月吉日と有りますから、石碑はその時に建てられています。
碑文を謹書した人物は栃木商業高校教諭だった、池澤洸氏。石工は箱森町の中村秀之助氏です。

太平山神社の表参道、隨神門から社殿に向かって石段を登ると、石段の右手脇に大きな石が見える。「綾川五郎次受留めの石」と言う案内が、その脇に建てられています。
綾川五郎次受け留めの石1.jpg 綾川五郎次受け留めの石2.jpg
<力士を志した五郎次が「我に力を授け給え」と太平山神社に三・七日(21日間)の祈願をかけ、毎日参拝した満願の日、正面石段を登行って行くと、山上から巨大な岩石が落下、五郎次は逃げるも避けるもできず、咄嗟に「南無太平大権現」と心に念じながら、転げ落ちてきたこの岩石を、ガッシと両手で喰い止め、目よりも高く差し上げて、側らの空地に投げ捨てた。>と言うエピソードが、長沼英雄氏が著した「わが町さんぽ 栃木周辺見てある記」に掲載されています。

綾川五郎次の第二代横綱の碑は、栃木市街地にある市民の憩いの場「第二公園」の瓢箪池の近くにも建てられています。
第二公園に建つ綾川五郎次の碑1.jpg 第二公園に建つ綾川五郎次の碑2.jpg
石柱の一面には、「日下開山二代横綱力士綾川五郎次碑」と、その側面に「綾川五郎次者下野國栃木産享保二年大関備前國岡山候召賜厚禄二代横綱力士也 明治三十三年十二月 十二代横綱力士陣幕久五郎土師道髙建之」と刻されています。

旭町の定願寺裏手墓地に有る、綾川家のお墓に「二代横綱力士綾川五郎次之墓」と記した墓石が建てられています。
綾川五郎次の墓(定願寺墓地).jpg

ところが昨年の暮れに、太平山神社に石碑を見に行った時、以前建てられていたはずの場所に石碑は見当たりません。無くなっていました。
現在の太平山神社境内.jpg
何処かに移したのか、暫く神社の境内や参道など、周辺を探して回りましたが、見つけることが出来ませんでした。どうしても見つけることが出来ませんでしたので、社務所の方に尋ねることにしました。
話によると、最近連続して発生した大雨の影響で、太平山神社では各所で、がけ崩れ等が起きて、石碑が建てられていたすぐ後ろ側のがけも崩れ、石碑も倒壊する危険性が有った為、石碑を一時的に崖下の通路の脇に移動し寝かせて置いた状態に成っていると説明して頂きました。
早速、教えて頂いた場所に行って確認をすると、確かに綾川五郎次之碑が、通路の脇に横に寝かせて置いて有りました。
道路の脇に寝かされた石碑.jpg
現在は、落ち葉や雑草等に覆われ、一見石碑と認識することが出来ない状態でした。
今の状態は一次疎開的処置でしょうから、是非またしっかりと建てて頂きたいと願っています。

ちなみに、第一代の横綱は、同じ栃木県出身の「明石志賀之助」と言われています。出身地宇都宮市八幡山の蒲生神社境内に、石碑と石像が建てられています。
明石志賀之助の碑(蒲生神社).jpg

この蒲生神社の参道入口に建つ石造りの鳥居を寄進した人物は、これも栃木市(旧藤岡町赤麻)出身、第27代横綱の「栃木山守也」だと知りました。

更に、2022年11月に新たに、JR宇都宮駅東口、LRTの停留所の直ぐ脇に、「日下開山」初代横綱 明石志賀之助像が建てられています。
明石志賀之助石像(JR宇都宮駅東口).jpg

初代も頑張っていますから。

今回の参考資料:
・「わが町さんぽ 栃木周辺見てある記」 長沼英雄著

この記事へのコメント